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脳内に溢れ出した”存在しない”記憶
机の上に置かれた一本のロレックス。 ぱっと見は、年式相応のアンティークモデル。 ──しかし。 見た瞬間、胸の奥がざわついた。 文字のバランスや針の立体感、どこかが違う。 そんな違和感が、職人としての感覚を刺激した。 「……なんだ、このプレッシャーは。」 裏蓋を開け、ムーブメントを確認。 瞬間── 脳内に、溢れ出した“存在しない"記憶。 「どういうことだ...。なんでお前が...。」 中に収まっていたのは、 バンパー式の自動巻ムーブメント。 ローターが半回転してバネにぶつかり、“コツッ”と跳ね返るタイプ。 1940〜50年代、オメガなどで使われていた構造だ。 地元じゃ負け知らず......か。どうやら俺たちは親友のようだな だが、ロレックスでこの構造を見たことはない。 それもそのはず── ロレックスにバンパー式は存在しない。 しかもこの個体、ローターにはしっかりと「ROLEX」の刻印。 見た目だけなら信じてしまいそうな、 悪質な1品 だった。 中身はまるで別物。 いわゆる“フランケンウォッチ(混ぜもの時計)”と呼ばれるものだ。 外からでは見抜けず、
COMPASS 株式会社
1 日前読了時間: 2分


今日はクリスマス──否、時計の歴史が動いた日。ゼンマイが刻み続ける“時の力”
今日はクリスマス! ──いいえ☝️、時計の世界では少し違います。 1969年12月25日。 セイコーが世界初のクォーツ式腕時計「アストロン」を発表した日です。 この一日が、時計業界の歴史を大きく変えました。 “クォーツショック”と呼ばれる技術革新の波が世界中を駆け抜け、 多くのメーカーが機械式からクォーツへと移行していきます。 精度も、価格も、構造も――すべてが新時代へ。 しかし、それから半世紀が経った今もなお、 ゼンマイで動く機械式時計は多くの人を魅了し続けています。 電子ではなく、金属の反発力だけで時を刻む―― その仕組みは、まるで生き物のような温もりを感じさせます。 今回は、その機械式時計の心臓部―― ゼンマイと香箱 についてお話しします。 香箱から取り出された解けているゼンマイ。金属の反発力だけで時計を動かす、小さなエンジンです。どうやって小さな腕時計に収められるのか一緒に見ていきましょう。 時計を動かす<見えないエンジン> 機械式時計が動くための原動力――それがゼンマイ( mainspring ) です。 薄く帯状に作られた金属が渦を巻
COMPASS 株式会社
2025年12月25日読了時間: 4分


【修理事例】CHANEL Premiere
シャネルの人気モデル「プルミエール」のオーバーホールを行いました。 上品なデザインで知られるモデルですが、構造がコンパクトなため、 内部のムーブメントには繊細な作業が求められます。 今回のご依頼では、動作の不安定さと軽い遅れが見られたため、 オーバーホール(分解掃除・注油・調整)と電池交換 を実施。 さらに 防水テスト を行い、日常使用に適した状態に仕上げています。 小型ケースのため部品ひとつひとつが非常に小さく、 精密な作業を要しましたが、最終的に安定した動作を確認。 デザイン性を損なうことなく、内部の精度も回復しています。 オーバーホールによって安定した動作を取り戻した、シャネル プルミエール。上品なデザインと確かな整備が両立した一本です。 🔧今回の 修理内容 作業内容 料金(税込) オーバーホール(分解掃除・注油・調整) ¥22,000 電池交換 ¥2,200 防水テスト ¥0 合計 ¥24,200 ブランドウォッチは構造が複雑なモデルも多く、 一見シンプルでも丁寧な分解・清掃・組立が欠かせません。 COMPASSではブランドや年代を問わ
COMPASS 株式会社
2025年12月23日読了時間: 2分


残す技術 ― COMPASSが考える部品交換
分解したムーブメント。パーツ一つひとつ丁寧に洗浄し、再び組み上げていきます。 オーバーホールとは、時計をいったんゼロに戻す作業です。 ムーブメントをすべて分解・洗浄し、磨き上げ、専用の潤滑油を注しながら一つひとつの部品を組み上げていきます。 その過程で重要なのは、 どの部品を交換するかではなく、どの部品を残せるか。 COMPASSでは、精度や耐久性に問題がなく、再使用が可能な部品はできる限り活かすようにしています。 長く動いてきたパーツには、その時計の歴史が刻まれています。 無理に新品へ置き換えるよりも、加工や調整で再び息を吹き返すことが多いのです。 メーカー修理では、ブランドごとの基準に沿って消耗部品として一律に交換したり、 場合によってはムーブメントごと入れ替えることもあります。 それは品質を一定に保つための正しい方法でもありますが、結果として費用がかさみ、 “まだ使える部品”が数多く姿を消してしまうこともあります。 私たちは、そうした画一的な修理とは少し違う立場にいます。 一つひとつの時計の状態を見極め、本当に必要な交換だけを行う。 それが
COMPASS 株式会社
2025年12月22日読了時間: 2分


時を止めたままにしないで ― 電池の液漏れがもたらす深刻なダメージ
クォーツ時計の中で最も多いトラブルのひとつが、 電池の液漏れ です。 時計が止まったまま長い期間放置されると、内部の電池から電解液がにじみ出し、回路やリード板を腐食させてしまいます。 下の写真は、実際に液漏れによって 回路が損傷した例 です。 白く粉を吹いたように見える部分は、漏れ出た電解液が乾いて固着したもの。 この状態になると、 回路のマイナスリード板が折れたり、電気が正常に流れなくなり、最終的には回路交換が必要 になります。 液漏れの原因は、電池そのものの寿命ではなく、「止まったまま放置」すること。 電池は完全に空になっても、内部にわずかに電圧が残り続け、その化学反応でガスが発生します。 それが内部圧力を上げ、やがて電解液が漏れ出すのです。 時計が止まったら、“動かなくなった”のではなく、“助けを求めている”状態。 電池を抜く、または交換するだけで守れる回路があります。 早めの電池交換が、あなたの時計を守る最も確実なメンテナンスです。 COMPASSでは、電池交換時に液漏れや腐食の有無も丁寧にチェックしています。 時計が止まってしまったら、
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2025年12月21日読了時間: 1分


111年前の今日に思う、時計と磁気の距離
1914年12月18日――ちょうど111年前の今日、東京駅が完成しました。 正確なダイヤと共に動き出した“時の拠点”。 それはまさに、日本が「時間の正確さ」を大切にする文化を形にした日でもあります。 しかし、どんなに精密に作られた時計でも、 見えない敵 には抗えません。 その正体は、磁気です。 眠っている間に、時計は静かに磁気を浴びているかもしれません。 ■ 磁気が時計に与える影響 クォーツ時計には永久磁石を使ったステップモーターがあり、磁気の影響を受けると磁力が乱れ、秒針の動作が不安定になります。 一方の機械式時計では、ヒゲゼンマイやテンプが磁化されてしまい、バランスが崩れて進み・遅れが発生します。 磁気は 距離の二乗に反比例 して弱まる性質があります。 つまり、わずか10cm以上離すだけでも影響はほとんどなくなります。 それでも、次のようなシーンでは注意が必要です。 磁気ブレスレットや磁気ネックレスを着用している スマートフォンやタブレットの上に時計を置いている バッグのマグネット留め具が近い スピーカーやPC周辺機器の近くに保管している..
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2025年12月18日読了時間: 3分


【修理事例】Cuervo y Sobrinos “GLADIADOR” Chronograph(Landeron Cal.)
オーバーホールと風防交換を経て蘇った、クエルボ・イ・ソブリノス “GLADIADOR” クロノグラフ。名機ランデロンムーブメントが再び滑らかに動き出し、クラシカルな表情を取り戻しています。 ハバナの美学が宿る、 クエルボ・イ・ソブリノス “GLADIADOR” クロノグラフ ラテンの香り漂う独特のデザインで知られる、 クエルボ・イ・ソブリノス(Cuervo y Sobrinos) 。 その中でも「GLADIADOR(グラディアドール)」は、1950〜60年代に製造された希少なクロノグラフシリーズです。 内部には、名機 Landeron(ランデロン)系ムーブメント を搭載。 クラシカルな機構とエレガントな外装が融合した、ヴィンテージの隠れた名作です。 今回は、風防の割れとムーブメントの作動不良を抱えた個体をお預かりしました。 部品交換ではなく、 内部パーツの調整による修復 と 風防交換 を実施。 再び、美しい鼓動を取り戻しました。 🔧 今回の修理内容 作業内容 金額(税込) オーバーホール(分解掃除・注油・精度調整) ¥55,000 内部パーツ
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2025年12月17日読了時間: 2分


【修理事例】ROLEX Air-King Ref,5500
オーバーホール後のロレックス・エアキング Ref.5500。風防の透明感と上品な輝きが戻り、ヴィンテージならではの存在感を放っています。 ロレックスの中でも、派手さを抑えたエアキングは「本質的な美しさ」を体現するモデルです。 今回は、1970年代製のRef.5500。 クラシカルな33mmケースにCal.1520を搭載した名機です。 経年による油切れと針の夜光劣化、風防のキズが見られましたが、 COMPASSにて丁寧にオーバーホール・外装クリーニングを実施しました。 作業内容・料金内訳 作業内容 金額(税込) オーバーホール(分解掃除・注油・精度調整) ¥49,500 裏蓋パッキン交換 ¥1,100 チューブパッキン交換 ¥1,100 風防交換 ¥8,800 針夜光再塗布(長短針) ¥2,200 防水テスト(結果:非防水/ケース劣化のため) ¥0 ケースクリーニング・錆び取り ¥0 合計(税込) ¥62,700 職人コメント ケース内部やチューブ周辺のパッキンが硬化し、油切れも進行していました。 分解洗浄と新規注油を行い、精度を安定化させました。
COMPASS 株式会社
2025年12月16日読了時間: 2分


【修理事例】TUDOR MINI-SUB Ref,94400
経年の味わいを残したまま、再び時を刻み始めたミニサブ。オリジナルのトリチウム夜行が息づいています。 トリチウム夜光を残して蘇るヴィンテージの魅力 ヴィンテージ時計の夜光は、ただの発光塗料ではなく“味わいそのもの”。 中でも「トリチウム夜光」は、経年変化でしか生まれない独特の風合いを持ちます。 かつてロレックスやオメガをはじめ、多くの時計メーカーが採用していたトリチウム夜光。 現在は安全性の観点から使用されていませんが、当時のモデルには今も残っており、 時間の経過とともにクリーム色やブラウンに変化します。 この自然なエイジングこそ、ヴィンテージの証。 新品にはない“時の深み”を楽しめる最大の魅力です。 🔧 今回の修理内容 今回お預かりしたのは チューダー・ミニサブ(Ref.94400) 。 オリジナルの文字盤と針に残る トリチウム夜光 を維持したまま、 ムーブメントの整備と外装クリーニングを行いました。 メーカー修理では針や文字盤が交換されてしまうこともありますが、 COMPASSでは オリジナルの雰囲気を損なわない修理 を行っています。 作業内
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2025年12月16日読了時間: 2分
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