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脳内に溢れ出した”存在しない”記憶

机の上に置かれた一本のロレックス。

ぱっと見は、年式相応のアンティークモデル。


──しかし。

見た瞬間、胸の奥がざわついた。

文字のバランスや針の立体感、どこかが違う。

そんな違和感が、職人としての感覚を刺激した。


ロレックスのアンティーク手巻きモデル。外観は本物のように見えるが、内部にはバンパー式ムーブメントが搭載されていた偽物個体。
「……なんだ、このプレッシャーは。」

裏蓋を開け、ムーブメントを確認。


瞬間──

脳内に、溢れ出した“存在しない"記憶。


ロレックスのケース内部に入っていたバンパー式自動巻ムーブメント。ローターが半回転してバネに当たる構造が確認できる。
「どういうことだ...。なんでお前が...。」

中に収まっていたのは、バンパー式の自動巻ムーブメント。

ローターが半回転してバネにぶつかり、“コツッ”と跳ね返るタイプ。

1940〜50年代、オメガなどで使われていた構造だ。


ローターに“ROLEX”の刻印がある偽造ムーブメント。見た目は精巧だが、実際には存在しない構造を持つ悪質な偽物。
地元じゃ負け知らず......か。どうやら俺たちは親友のようだな

だが、ロレックスでこの構造を見たことはない。

それもそのはず──ロレックスにバンパー式は存在しない。


しかもこの個体、ローターにはしっかりと「ROLEX」の刻印。

見た目だけなら信じてしまいそうな、悪質な1品だった。


中身はまるで別物。

いわゆる“フランケンウォッチ(混ぜもの時計)”と呼ばれるものだ。

外からでは見抜けず、ケースを開けて初めて真実がわかる──

これがアンティーク市場の怖いところでもある。


バンパー式ムーブメント自体は、構造として非常に魅力的だ。

歴史的にも意義のある設計で、オメガなどでは今も人気が高い。

だが、それを“ロレックスの名を借りて”仕立ててしまうのは別問題だ。




どうすれば“偽物”を掴まされずに済むのか?


時計の世界では、外観だけでは判断できない“真贋のグレーゾーン”が少なくありません。

だからこそ、信頼できるルートで、確かな整備を経た個体を選ぶことが大切です。


COMPASSで販売する時計は、すべて職人が分解・点検を行い、

ムーブメントの状態や真贋を確認したうえで整備・保証を付けています。


偽物を掴まないために──、

まずは信頼できる整備士のいる店で選ぶこと。

それが、時計を長く楽しむためのいちばんの近道です。

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