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今日はクリスマス──否、時計の歴史が動いた日。ゼンマイが刻み続ける“時の力”


今日はクリスマス!

──いいえ☝️、時計の世界では少し違います。


1969年12月25日。

セイコーが世界初のクォーツ式腕時計「アストロン」を発表した日です。


この一日が、時計業界の歴史を大きく変えました。

“クォーツショック”と呼ばれる技術革新の波が世界中を駆け抜け、

多くのメーカーが機械式からクォーツへと移行していきます。

精度も、価格も、構造も――すべてが新時代へ。


しかし、それから半世紀が経った今もなお、

ゼンマイで動く機械式時計は多くの人を魅了し続けています。

電子ではなく、金属の反発力だけで時を刻む――

その仕組みは、まるで生き物のような温もりを感じさせます。


今回は、その機械式時計の心臓部――

ゼンマイと香箱についてお話しします。


解けた状態のゼンマイ。香箱から取り出された時計の動力源で、金属の反発力によって針を動かす。
香箱から取り出された解けているゼンマイ。金属の反発力だけで時計を動かす、小さなエンジンです。どうやって小さな腕時計に収められるのか一緒に見ていきましょう。


時計を動かす<見えないエンジン>


機械式時計が動くための原動力――それがゼンマイ( mainspring )です。

薄く帯状に作られた金属が渦を巻くように収められ、

その外側を覆う円筒形の部品が香箱( barrel )と呼ばれます。


ゼンマイは香箱の中で巻き上げられ、

ほどけるときの反発力で歯車を順に動かして針を回します。

つまり、香箱は“時計のエネルギータンク”であり、同時に“動力を最初に伝える歯車”でもあります。



香箱は「1番車」


香箱は、ゼンマイがほどける力を最初に受け止め、次の歯車へ伝える重要な役割を持っています。

動力を最初に伝える歯車――それが香箱であり、故に「1番車」と呼ばれます。


ここで、勘の良い方ならきっとこう思うはずです。

「ということは、2番車や3番車もあるのでは?」

はい、その通りです☝️。

時計の中では香箱の先に、輪列( gear train )と呼ばれる一連の歯車の流れが存在します。

その詳細は、次回のコラムでじっくり解説します。


香箱内部に収められたゼンマイ。時計の動力を蓄える心臓部であり、香箱車は動力伝達の1番車として機能する。
香箱に収められたゼンマイ。時計の動力を蓄える「心臓」であり、最初に力を伝える一番車でもあります。香箱の周りに歯先が確認できますね。


ゼンマイは、いつ切れるか分からない


ゼンマイは金属製でありながら、いつ切れるかは予測できません。

金属疲労、潤滑不足、経年変化――原因はさまざま。

巻き上げ時に「パチン」と音を立てて切れることもあれば、

時計が静かに止まり、開けてみたら途中で断裂していた、というケースもあります。


切れる位置によって症状も異なり、

外周や中心で切れれば完全に止まりますが、

中央付近で切れた場合は一部だけ力が伝わり、短時間だけ動くこともあります。


途中で切れたゼンマイ。金属疲労や潤滑不足により断裂した状態で、動作不良や持続時間低下の原因となる。
途中で切れてしまったゼンマイ。一見動くこともありますが、時速時間が極端に短くなることも。


手巻きと自動巻き ― 巻き止まりの違い


🔹 手巻き時計


リューズを手で回してゼンマイを巻き上げるタイプ。

「巻き止まり」を感じたら、そこから無理に巻いてはいけません。

無理に巻くと、ゼンマイがねじ切れます



🔹 自動巻き時計


腕の動きによってローターが回転し、ゼンマイを自動で巻き上げます。

こちらには巻き止まりがなく、スリップ機構(滑りクラッチ)が働き、

ゼンマイが一杯になると空転して破損を防ぎます。




「ゼンマイ」「全舞」「発条」――表記の話


時計修理の現場では、たまに「ゼンマイ」を「全舞」と表記している資料を見かけます。

本来の漢字表記は「発条」ですが、

古い修理書や伝票などで「全舞」という当て字が使われてきました。


「ゼン=全(すべて)」「マイ=巻(まく)」という音の響きから、

職人たちの間で自然に広まった言葉と言われています。

現在ではほとんどの修理業者がカタカナ表記「ゼンマイ」を使用しており、

COMPASSでもこの表記を採用しています。



職人の視点から


ゼンマイと香箱は、時計の動力を司る最も重要なコンビです。

COMPASSでは、ゼンマイを単に交換するのではなく、

「なぜ切れたのか」「香箱内部でどう力が伝わっているのか」までを確認し、

最適な整備を行います。


見えない部分の精度こそが、時計の寿命を大きく左右する――

それが、私たちが一番大切にしている考え方です。




💡まとめ


ゼンマイと香箱は、時計の動力を生み出す心臓部。

見えない部分のわずかな不具合が、やがて大きなトラブルに繋がることもあります。


COMPASSでは、一級時計修理技能士が一つひとつの時計を丁寧に点検・整備し、

ゼンマイや香箱の状態を正確に見極めて修理を行っています。


「最近持続時間が短くなった」「ゼンマイを巻いても動かない」

そんな症状がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。


📩 修理やお見積りのご依頼は

または LINEInstagramのDM からも受け付けています。

オンライン対応で全国どこからでもご依頼可能です。

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