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脳内に溢れ出した”存在しない”記憶
机の上に置かれた一本のロレックス。 ぱっと見は、年式相応のアンティークモデル。 ──しかし。 見た瞬間、胸の奥がざわついた。 文字のバランスや針の立体感、どこかが違う。 そんな違和感が、職人としての感覚を刺激した。 「……なんだ、このプレッシャーは。」 裏蓋を開け、ムーブメントを確認。 瞬間── 脳内に、溢れ出した“存在しない"記憶。 「どういうことだ...。なんでお前が...。」 中に収まっていたのは、 バンパー式の自動巻ムーブメント。 ローターが半回転してバネにぶつかり、“コツッ”と跳ね返るタイプ。 1940〜50年代、オメガなどで使われていた構造だ。 地元じゃ負け知らず......か。どうやら俺たちは親友のようだな だが、ロレックスでこの構造を見たことはない。 それもそのはず── ロレックスにバンパー式は存在しない。 しかもこの個体、ローターにはしっかりと「ROLEX」の刻印。 見た目だけなら信じてしまいそうな、 悪質な1品 だった。 中身はまるで別物。 いわゆる“フランケンウォッチ(混ぜもの時計)”と呼ばれるものだ。 外からでは見抜けず、
COMPASS 株式会社
1月14日読了時間: 2分


宇宙で時を刻む時計──スピードマスターという“現役の伝説”
今日は1月5日。 クリスマスや正月の余韻が残るこの日、1972年にアメリカで一つの決断が下されました。 ── スペースシャトル計画の正式承認。 人類が再び宇宙へ挑む、新たな時代の幕開けでした。 宇宙空間で最も信頼される計器のひとつが「時計」です。 過酷な温度差、無重力、真空── そこでは、わずかな誤差が命に関わります。 そんな極限の世界で、NASAが採用した唯一の腕時計が オメガ スピードマスター でした。 1965年、アメリカ初の宇宙遊泳を行ったエド・ホワイト飛行士。その左腕には、今も変わらぬ姿のオメガ スピードマスターがあった。 1969年、アポロ11号でニール・アームストロングが月面に立ったとき。 その腕にあったのも、同じスピードマスター。 そして、スペースシャトル計画が始動した1972年以降も、 この時計は宇宙で“人類の時間”を刻み続けています。 “プロフェッショナル”の名は、この時から始まった。 いまもISS(国際宇宙ステーション)では、 ロシアの宇宙飛行士たちがスピードマスターを船外活動で使用しています。 半世紀を超えてなお、宇宙で現
COMPASS 株式会社
1月5日読了時間: 2分


今日はクリスマス──否、時計の歴史が動いた日。ゼンマイが刻み続ける“時の力”
今日はクリスマス! ──いいえ☝️、時計の世界では少し違います。 1969年12月25日。 セイコーが世界初のクォーツ式腕時計「アストロン」を発表した日です。 この一日が、時計業界の歴史を大きく変えました。 “クォーツショック”と呼ばれる技術革新の波が世界中を駆け抜け、 多くのメーカーが機械式からクォーツへと移行していきます。 精度も、価格も、構造も――すべてが新時代へ。 しかし、それから半世紀が経った今もなお、 ゼンマイで動く機械式時計は多くの人を魅了し続けています。 電子ではなく、金属の反発力だけで時を刻む―― その仕組みは、まるで生き物のような温もりを感じさせます。 今回は、その機械式時計の心臓部―― ゼンマイと香箱 についてお話しします。 香箱から取り出された解けているゼンマイ。金属の反発力だけで時計を動かす、小さなエンジンです。どうやって小さな腕時計に収められるのか一緒に見ていきましょう。 時計を動かす<見えないエンジン> 機械式時計が動くための原動力――それがゼンマイ( mainspring ) です。 薄く帯状に作られた金属が渦を巻
COMPASS 株式会社
2025年12月25日読了時間: 4分


残す技術 ― COMPASSが考える部品交換
分解したムーブメント。パーツ一つひとつ丁寧に洗浄し、再び組み上げていきます。 オーバーホールとは、時計をいったんゼロに戻す作業です。 ムーブメントをすべて分解・洗浄し、磨き上げ、専用の潤滑油を注しながら一つひとつの部品を組み上げていきます。 その過程で重要なのは、 どの部品を交換するかではなく、どの部品を残せるか。 COMPASSでは、精度や耐久性に問題がなく、再使用が可能な部品はできる限り活かすようにしています。 長く動いてきたパーツには、その時計の歴史が刻まれています。 無理に新品へ置き換えるよりも、加工や調整で再び息を吹き返すことが多いのです。 メーカー修理では、ブランドごとの基準に沿って消耗部品として一律に交換したり、 場合によってはムーブメントごと入れ替えることもあります。 それは品質を一定に保つための正しい方法でもありますが、結果として費用がかさみ、 “まだ使える部品”が数多く姿を消してしまうこともあります。 私たちは、そうした画一的な修理とは少し違う立場にいます。 一つひとつの時計の状態を見極め、本当に必要な交換だけを行う。 それが
COMPASS 株式会社
2025年12月22日読了時間: 2分


時を止めたままにしないで ― 電池の液漏れがもたらす深刻なダメージ
クォーツ時計の中で最も多いトラブルのひとつが、 電池の液漏れ です。 時計が止まったまま長い期間放置されると、内部の電池から電解液がにじみ出し、回路やリード板を腐食させてしまいます。 下の写真は、実際に液漏れによって 回路が損傷した例 です。 白く粉を吹いたように見える部分は、漏れ出た電解液が乾いて固着したもの。 この状態になると、 回路のマイナスリード板が折れたり、電気が正常に流れなくなり、最終的には回路交換が必要 になります。 液漏れの原因は、電池そのものの寿命ではなく、「止まったまま放置」すること。 電池は完全に空になっても、内部にわずかに電圧が残り続け、その化学反応でガスが発生します。 それが内部圧力を上げ、やがて電解液が漏れ出すのです。 時計が止まったら、“動かなくなった”のではなく、“助けを求めている”状態。 電池を抜く、または交換するだけで守れる回路があります。 早めの電池交換が、あなたの時計を守る最も確実なメンテナンスです。 COMPASSでは、電池交換時に液漏れや腐食の有無も丁寧にチェックしています。 時計が止まってしまったら、
COMPASS 株式会社
2025年12月21日読了時間: 1分


111年前の今日に思う、時計と磁気の距離
1914年12月18日――ちょうど111年前の今日、東京駅が完成しました。 正確なダイヤと共に動き出した“時の拠点”。 それはまさに、日本が「時間の正確さ」を大切にする文化を形にした日でもあります。 しかし、どんなに精密に作られた時計でも、 見えない敵 には抗えません。 その正体は、磁気です。 眠っている間に、時計は静かに磁気を浴びているかもしれません。 ■ 磁気が時計に与える影響 クォーツ時計には永久磁石を使ったステップモーターがあり、磁気の影響を受けると磁力が乱れ、秒針の動作が不安定になります。 一方の機械式時計では、ヒゲゼンマイやテンプが磁化されてしまい、バランスが崩れて進み・遅れが発生します。 磁気は 距離の二乗に反比例 して弱まる性質があります。 つまり、わずか10cm以上離すだけでも影響はほとんどなくなります。 それでも、次のようなシーンでは注意が必要です。 磁気ブレスレットや磁気ネックレスを着用している スマートフォンやタブレットの上に時計を置いている バッグのマグネット留め具が近い スピーカーやPC周辺機器の近くに保管している..
COMPASS 株式会社
2025年12月18日読了時間: 3分
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